【人間失格】太宰治の名言・エピソードから学ぶ仕事のヒント

太宰治(本名・津島修治)は大正・昭和期の日本を代表する文豪の1人として知られています。退廃的で暗い作風、自暴自棄な性格を感じさせるエピソードの多さから「ダメ人間」のレッテルを貼られることも多い人物です。

今回は、一見「超絶ダメ人間」の太宰治の名言・格言から、人生の教訓を得ていただきたいと思います。

太宰治ってどんな人?生い立ちとエピソード

1909年に青森県の金木村(現在は五所川原市)というところで生まれた太宰治。「貧困から富豪へ」というサクセスストーリーをもつ偉人が数多くいますが、太宰はその真逆の人生を辿ることとなります。

エリート家庭で育った学生時代

太宰治は、大地主の家庭に生まれました。父は衆議院議員で、地元では名の通った人物だったようです。母は病弱だったため、幼少期は叔母や乳母に面倒を見てもらうことが多かったそう。30人ほどの使用人を雇っていたと言われており、非常に裕福な家庭で育ったことが伺えます。

太宰はとても勉強熱心で、中学までの学業成績は非常に優秀でした。

読書に没頭した高校時代

太宰治が小説家としての人生を歩み始めたのは、高校時代からでした。子供のころから小説を読むのが好きだった太宰ですが、高校に入ると、更に文学に熱を入れるようになります。お気に入りの作家は、芥川龍之介や井伏鱒二(いぶせますじ)、志賀直哉など。

とりわけ強い憧れをもっていた芥川の訃報を受けた時には、夜遊びをしまくったり、下宿先に閉じこもったりなど、大きな精神的ショックを受けたようです。

高校時代には同人誌を発行するなど、太宰自身も作家としての一歩を歩み始めます。

酒・薬・女……人間失格?

高校時代の太宰は、文学や執筆活動に熱中するあまり、勉強をおろそかにするようになっていきました。それでも東京帝国大学(現在の東京大学)仏文科になんとか進学します。

しかし大学では高度な講義内容についていけず、左翼活動に傾倒してみたり、カフェの女給と心中未遂を起こしたりと自暴自棄になっていきます。結果、大学の授業料を払うこともできなくなり、除籍処分を下されました。

在学中に敬愛する井伏鱒二に弟子入りしたこともあり、退学後の太宰は作家として高く評価されるようになります。一方でメンタルの不安定さは治らず、不倫や借金、心中未遂を繰り返し、酒や薬に溺れていきます。

人生で4度以上の自殺未遂

芥川龍之介や三島由紀夫、川端康成など、後世に名を轟かす多くの小説家には、自殺でこの世を去る人物が少なくありません。「文豪=自殺」のようなイメージをもっている方も多いのではないでしょうか。

太宰治も、自殺で人生を負えた文豪の1人です。驚くべきことに、実際に命を断つまでに、明らかになっているだけでも4回以上は自殺未遂を繰り返したそうです。

高校時代には薬物自殺を試み、実家から勘当された時にはカフェの女給と心中未遂

(この時、太宰は自殺に失敗し、女給だけ亡くなったようです)。

大学を除籍された時、妻の不倫が発覚した時にも自殺未遂を繰り返し、最後は愛人と玉川上水へ身投げし、亡くなりました。

人を信用できず、酒や薬物、恋愛に溺れていく男を描いた作品「人間失格」の主人公・葉蔵のモデルは太宰自身だと言われています。

超絶ネガティブ?太宰治の役立つ名言

自堕落で自暴自棄。多くの人がもっている太宰像に違わず、彼の名言にもそのネガティブさを感じさせるものが多くあります。

しかしながら、ネガティブで誰よりも人間を恐れていた太宰からこそ「なるほど……」と思わず納得してしまう言葉も数多く残されています。

  • 君のような秀才にはわかるまいが、「自分のいきていることが、人に迷惑をかける。僕は余計ものだ」という意識ほどつらい思いは世の中に無い。
  • 弱虫は、幸福をさえ恐れるものです。綿で怪我するんです。幸福に傷つけられる事もあるんです。
  • 僕は自分がなぜ生きていなければならないのか、それが全然わからないのです。
  • 大人とは、裏切られた青年の姿である

サッと読むだけでも疲れてしまいそうな、怒涛のネガティブワードが並びます。人一倍繊細で感受性の高かった太宰は、普通の人が気にしないようなことまでネガティブに受け止め、絶望に浸ってしまいます。

「自分は余計もの」「誰の役にも立っていない」という思い込みは、プライドを失わせ、人生を生きる糧を壊してしまいます。私たちも仕事をする上で、力を尽くしてくれた部下や同僚の努力を素直に認めて上げることが重要ですね。

人生に役立つ太宰治のポジティブ名言

作風やエピソードから、「ネガティブ過ぎる文豪」イメージの強い太宰ですが、実は前向きになれるような名言も残しています。

  • 幸福の便りというものは、待っている時には決して来ないものだ。
  • 笑われて、笑われて、強くなる
  • 人間三百六十五日、何の心配もない日が、一日、いや半日あったら、それは仕合せな人間です

いかがでしょうか。これまで紹介してきた人物とは似ても似つかぬポジティブ文豪が想像できてしまったのではないでしょうか。「幸せは待つものではなく、自分で掴み取るものだ」という現代でも良く言われる名言に通じるものがありますよね。

太宰と言えば「酒と女遊びばかりしていた天才肌の作家」というイメージをもつ方も少なくないはずです。それでも、学業が疎かになるほど小説を読み漁り、有名作家に弟子入りした努力と行動力の持ち主であったことは確かです。

太宰治の名言から学ぶネガティブとポジティブのバランス

不安定なメンタル、自暴自棄な性格でエリートから「ダメ男」へと変貌を遂げた文豪・太宰治。ネガティブなイメージがとにかく強いですが、この記事で紹介したように、ポジティブな一面もあったことが伺えます。

人生でも大事なのは、ポジティブ面とネガティブ面のバランスです。ネガティブ過ぎれば、失敗を恐れ何事にも挑戦できなくなってしまいます。一方、ポジティブ過ぎても自分の失敗を反省できず、成長は止まってしまうでしょう。

数々の「クズ男エピソード」を残した太宰治。しかし文豪として輝いたのは、ネガティブ過ぎる性格の中にも、自分を奮い立たせるポジティブな一面があったからではないでしょうか。

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