心はもと活きたり|吉田松陰の名言

【心はもと活きたり】とは、心は元々生き生きとしたものである、という吉田松陰からのメッセージです。人はものごとに感動する。つまり感動のないところには、人の心は動きません。

現代で言うと、感動とビジネスと密接な関わりを持っています。ではその【感動ビジネス】というのはどんなものなのでしょうか。あなたも自分で感動し、人を感動させることで、新たなビジネスモデルを作り出してみませんか。

心はもと活きたり

原文「心はもと活きたり、活きたるものには必ず機あり、機なるものは触(しょく)に従ひて(したがいて)発し、感に遇ひて(あいて)動く。」(西遊日記 嘉永三年)

(訳)「心はもともと生き生きとしたものなので、必ず動き出すきっかけがある。それは何かに触発されることから生まれ、感動することによって動き始めるものだ。」

解説

吉田松陰は、嘉永三年(一八五〇年)、二十一才のときに、九州へ初めての藩外遊学を行いました。生まれて初めて長州藩の外へ出たわけです。

西遊日記とは、このときの松陰の旅の記録のこと。その際に松陰は、長崎出島のオランダ船を見学したり、洋菓子を口にしたりしました。珍しい体験の数々に松陰はたいへんに感銘を受け、新鮮な感動を書き残しています。

吉田松陰は【感動の人】でした。何事にも感動しやすい、高い感性を持ち、生き生きとした心を備えた人だったのです。

ビジネスチャンスを生む~感動力

吉田松陰の時代から、人を動かすものは【感動】でした。現代でも、人間の感動と成功するビジネスとは、密接な関係があります。

ビジネス⇔感動

【感動ビジネス】という言葉があります。

ラグビーのワールドカップやオリンピックなどのスポーツイベント、映画や音楽などのエンターテイメントだけではありません。あらゆる市場の売上げに、【感動】~人の心を動かすこと~が関連しています。

中国のSNSインフルエンサーは、中国国内で爆発的な人気を誇る市場を作る程、影響力があります。トップインフルエンサーになると、350秒で17億円、2時間で34億円を売り上げることも可能です。

彼ら&彼女たちが発信する情報は、フォロワーから絶大な信頼感と親しみを持たれており、自分自身の【感動体験】を語ることで、フォロワーと【感動】を共有しています。そして、フォロワーは彼女たちの語るストーリーに共感しつつ、彼女たちが展開するビジネスを受け入れています。

人間が感動を欲する気持ちは、松陰の時代から現代にいたるまで、変わりません。感動とは、人の心に強いインパクトを与えるものです。

時代の空気を的確に読み、その時代を生きる皆さんとリアルな今を共有できた人こそ、「ヒットビジネス」を生むことができる人、と言えるのではないでしょうか。

感動体験を元にした、様々なビジネス

近年、話題になったフレンチレストラン【俺のフレンチ】店。最初はフランス料理を立ち食いする店?と、多くの人に驚かれました。しかし、そのリーズナブルな価格と上質な味に顧客からは感動の声が。

今は全店に座席を設けたようですが、あいかわらず人気店として人の流れが絶えない店に。【高級フレンチを立ち食い】という、まさかの取り合わせが、多くの人に驚きと感動を与えたのでしょう。

Unipos(ユニポス)も、新しいビジネスモデルとして、注目されていますね。Uniposとは、スタッフ同士が自分の感謝の気持ちをポイントとして送り合えるサービスです。社員の成果を細やかに評価できる仕組みとして、様々な企業で取り入れられています。

従業員に対する評価を具現化する取り組みとして、誰かが気がつきそうで気がつかなかった、面白い取り組みではないでしょうか。はじめて、この取り組みを聞いた人は、新鮮な驚きと感動を覚えたことでしょう。

このように、新しい時代の成功ビジネスの共通点とは、その時代の空気や価値感を敏感に感じとり、それを形にできたところと言えます。

人に感動を与える~影響力のある人になるためには

中国のインフルエンサーのように、あなたの影響力が強まるほど、あなたの発信することによって、動かされる人たちが増えていきます。他人に影響力を持つ人になるためには、どうしたらいいのでしょうか。

他人からの信頼感を勝ち取る

他人に対して、感動を与えられる影響力を持つ人とは、ズバリ、【信頼されている人】です。「○○さんの言うことなら信頼できる」と思われている人は、他人に対する発言力も大きいと言えます。

その上、あなたが扱う商品に【付加価値】を与えることができれば、顧客はあなたの提供する商品を「欲しい」と思うでしょう。

それは、あなたがお客の心を動かした結果です。では、他人からの信頼を得るためにはどうしたらいいのでしょうか。

  • あなたは一体何者ですか?
  • あなたを信用しても大丈夫ですか?
  • なぜ、あなたを信用できるのですか?

これらの、顧客からの疑問を1つずつ、解決していったとき、あなたは相手からの警戒心をゆるめることができ、顧客からの信頼を得ることができるといえるでしょう。

自分の実績や権威・専門性を相手に上手に伝えることも、相手からの信頼を得る、一手段であります。

大きなメリットを相手に提供する

人が行動を起こす理由は、【そこにメリットがあるかどうか】です。そして、そのメリットが、人が本当に欲しいと思っているものであればあるほど、相手は具体的な行動を起こしてくれます。

たとえば、以下のようなものが考えられます。

  • 願望を叶えてくれる
  • コンプレックスを解消してくれる
  • 自分を肯定させてくれる(一緒にいて気持ちが落ち着くなど)
  • 自分が抱えている問題を解決してくれる

確実なメリットでなくても、メリットの可能性を感じるだけでも、人は行動してくれます。

素直に感動する感性こそ、【心はもと活きたり】の真髄

今までの慣習をただ漫然と続けることは、簡単なことではあります。しかし、そこに新しい感動は生まれません。

時代のリアルを見聞きし、そこに生まれた【新しい感動】を、自分の感性と言葉、そして表現で形にできたとき、新時代の新たな形のビジネスが生まれると言えます。

【心はもと活きたり】に代表される松陰の言葉の数々も、松陰の心から発した感動の言葉だったからこそ、現代の私たちにも、感銘を持って受け取られるのではないでしょうか。