「きっと、うまくいく」のあらすじ・名言から学ぶ人生の歩き方

インド映画「きっと、うまくいく」は、インド本国はもちろん世界中で多くの映画ファンを魅了した名作です。本作は「学ぶことの面白さ」や「自分の本心に従って生きることの大切さ」を思い出させてくれます。

 

この記事では「きっと、うまくいく」のあらすじや名言から、人生やビジネスに必要な教訓を得ていこうと思います。

「きっと、うまくいく」ってどんな映画?

「きっと、うまくいく」は2009年公開のインド映画で、日本でも2013年に上映されました。インドアカデミー賞で16部門受賞という輝かしい記録を残し、世界的にも大ヒットした本作。社会問題にスポットライトを当てつつ、ロマンスやコメディ要素もコミコミのハートフル青春映画です。

「きっと、うまくいく」のあらすじ【ネタバレなし】

「ランチョーが見つかった」

 

大学卒業のあと消息不明となっていた親友、ランチョーに会えるという知らせを受けたファルハーン。大学時代の友人であったラージュー、腐れ縁のチャトゥルを連れて、ランチョーに会いに行きます。

 

物語は、ランチョーに会いに行く現代と、ファルハーンによる大学時代の回想シーン

という形で進行します。

 

10年前……。ファルハーンは名門工科大ICEで、ランチョーとラージューに出会いました。動物と写真が好きなのに父親の圧力で工学生になったファルハーン、貧乏な実家を救うためにもなんとしてもエンジニアになりたいラージュー、そして工学を愛する自由人ランチョー。

 

ファルハーンとラージューは、上級生のいじめに物怖じせず我が道を行くランチョーに惹かれはじめます。ランチョーは「就職のための学問」という大学の教育哲学に疑問をもっていました。。

 

一方形式や競争を重んじ、大学の就職実績を上げたい学長にとっても、自由奔放(じゆうほんぽう)で教科書通りの教育に捉われないランチョーは厄介者でした。学長は、ランチョーとその仲間(ファルハーンとラージュー)を目の敵にするようになります。

 

己の方針に従わない生徒を徹底的に嫌う学長。そのプレッシャーに耐えかね、1人の学生がある事件を起こします。

 

時は現代へ戻ります。ようやくランチョーの家にたどり着いた3人。しかし、そこにいたのはランチョーと名乗る全くの別人だったのです。

「きっと、うまくいく」が名作と言われる理由

多くの映画通に愛され続ける名作「きっと、うまくいく」。なぜこの作品が名作と呼ばれるのか、その魅力を解説します。

 

これぞインド映画「ナヴァ・ラサ」

「きっと、うまくいく」は一言で言ってしまえば、「インド映画らしいインド映画」です。

インド映画には「ナヴァ・ラサ」と呼ばれる9つの要素・感情(ロマンス、ユーモア、涙、復習、アクション、スリル、敵、サスペンス、ハッピーエンド)を取り入れるという伝統美学があります。

 

「きっと、うまくいく」も、笑いあり涙あり、脈絡なく唐突に流れる陽気な音楽とともに踊り出すまさにインド映画的な演出あり。視聴者の感情をジェットコースターのように揺さぶってきます。

 

あれもこれもと多くの要素を詰め込みすぎて、ストーリーが破綻(はたん)したり軸がブレてしまう作品は少なくありません。

 

しかし本作は青春、恋愛、社会問題、ユーモアとあらゆる要素を盛りに盛りつつ、しっかり筋の通ったストーリーで、視聴者を飽きさせることがありません。

 

社会問題に一石を投じるテーマ

IT大国として、近年急速に経済成長を遂げているインド。一方で「カースト制(社会的な身分・階級制度)」の名残(なごり)から、階級による差別意識が残っているのはご存じでしょうか。

 

インドで身分に縛られず成功するための方法が、有名大学に進学し、エンジニアか医者になることです。そのため、親は子供を医師・エンジニアの仕事に就かせるために必死になります。本来人の生活を豊かにするための学問が、仕事に就くための手段になっているわけです。

 

「我が子を成功者に」という願望は時に強い圧力となり、子供を苦しめることも少なくありません。こうした状況から、インドでは10代の自殺率増加が社会問題となっています。

 

「きっと、うまくいく」でも、親や学長、社会からのプレッシャーに苦悩する大学生の様子が描かれており「成長国の負の側面」というテーマにスポットライトを当てています。娯楽映画としても非常にクオリティの高い本作ですが、社会問題への気付きを与えてくれる映画としても非常におすすめです。

 

共感性の高いシナリオ

「きっと、うまくいく」で描かれた社会問題は、私たち日本人にとっても決して無縁ではありません。資本主義である以上、数字や成績での評価は付きもの。「良い大学に入って、有名企業で働きなさい」というプレッシャーに苦しんだ人は少なくないはずです。

 

だからこそ、本作に登場する人物たちの気持ちが痛い程にわかってしまうんです。「わかる、わかるよその気持ち……!」と映画を見ながら声を出してうなずいてしまう。気付けば主人公3人組と一緒になって泣いて、笑って、人目も憚(はばか)らず踊ってしまう。共感性が高く、2時間50分という長さを全く感じさせない映画です。

 

「きっと、うまくいく」の名言

「きっと、うまくいく」には、社会問題や学問の本質をついた名言が数多く登場します。ビジネスや人生にも応用できる言葉なので、ぜひ参考にしてください!

 

  • ここは学問ではなく点の取り方を教えてる
  • 成功を追うのは間違いだ。優秀なら成功は付いてくる

 

成績至上主義の学長、高得点を取るためにに答えを丸暗記する同級生に対するランチョーの名言です。かつて「親に怒られたくない」という一心で、怯えながらテスト勉強をした方も多いのではないでしょうか。

 

しかし学問は本来何かに怯えてやるものではありませんし、就職の道具でもありません。「人生を豊かに、より楽しくしてくれるものだ」というランチョーの学問観は、「学び」の本質をついているのではないでしょうか。

 

  • 僕は父さんにだけ理解してもらえればいい。世間は関係ない
  • 写真家になれば僕の少ない稼ぎで買えるのは小さな家や車だろう。でも僕はそれで幸せだ

 

これまで両親の望むようにエンジニアを目指してきたファルハーンが、はじめて写真家になりたいと夢を語り、父親を説得しようと試みるシーン。世間体を気にする父に、懸命に思いを伝える姿は、視聴者の感情を大きく揺さぶります。

 

幸せの形は人それぞれ。自分で人生の舵取りをする勇気をもらえる名言です。

 

「きっと、うまくいく」から得られる人生の教訓

映画「きっと、うまくいく」には人生やビジネスに応用できるヒントが数多くあります。

自分の人生は、本来自分で舵を取らねばなりません。しかし世間体やプライド、お金などあらゆるものが心を惑わせ、人は大事な決断を他人に任せてしまうようになります。

 

「親や上司がそう言うから……」と進路を決めてしまったことはありませんか?後悔のない人生を送るためには、決断から逃げないことが重要です。「きっと、うまくいく」は「自分の人生を生きる方法」を教えてくれる作品ではないでしょうか。