武士たる者は|吉田松陰の名言

「武士たる者は行状座臥常に覚悟ありて油断なき如くすべしとなり」とは、人が生きていくためには「覚悟」が必要だと言う内容を含んでいます。吉田松陰が言う「武士」とは、現代に例えれば、ビジネス世界で生きる人すべてを指すと言えますね。

「常在戦場(じょうざいせんじょう)」~常に戦場にいるかのように緊張感を持って過ごしなさい~という意味でもあります。特にビジネスシーンにおいては、常に学び、変わり、成長し続ける覚悟が大切ではないでしょうか。

武士たる者は

「武士たる者は」の原文と解説を見ていきましょう。

原文

『武士たる者は行状座臥(ぎょうじょうざが)常に覚悟ありて油断なき如く(ごとく)すべしとなり(安政三年八月以降「武教全書講録」より)』

 

訳「武士は日常の起居動作(ききょどうさ)において、常に覚悟をし、油断のないようにすべきである」

解説

「武士という者は、日常から常に戦うための覚悟をし、それに備えて生きて行かなければならない」と、吉田松陰は述べています。

「武士たる者は」とは、山鹿素行(やまが そこう)が記した「武教全書」の中でも特に「武士道」精神を元とする言葉と言えるでしょう。

武士道とは、厳密に言うと戦国時代までの武士の精神のこと。「主君のためには命も捨てる覚悟で戦いに臨むべき」という精神です。それは現代においては、企業やリーダーのために犠牲を捧げる生き方を勧めているとも言えますから、時代遅れに思うかもしれません。

ですが、山鹿素行や吉田松陰が提唱した「武士道」は、古い武士道を新時代に合うようにリニューアルさせた「武士道」です。

今のビジネスマンの立場からしても「仕事の現場で最高の能力を発揮するためには、普段から様々な努力をするべきだ」と言い換えれば、分かりやすいのではないでしょうか。

この「武士たる者は」の前には、「(家の)門を出たときから、敵の存在を意識しなさい」と、非常時に対して準備する覚悟を説く一文があります。

現代はもはや幕末ではありませんが、将来への確実な道筋が見えにくい時代ということはできます。今の時代は全てがものすごい速さで変化します。そして、それについていくことができなければ、時代からの落伍者となってしまいます。

現代は、個人がそれぞれに緊張感を持ち、自分で学び考えて日々を過ごしていくことが大切な時代だと言えるのではないでしょうか。

「武士たる者は」という言葉は、時代を超えて現代の私たちにも「生きる上・働く上で危機意識を持て」「覚悟を持て」と助言してくれているのです。

「覚悟」の意味を知った”現代の武士”

ある会社社長Aさんの談話です。

Aさんは、今まで出会った成功者は皆、ケンカを好まない心の安定した人たちだったと言います。

知り合いの某社長Bさんのことも、どんな場面でも怒った姿を見たことがないので不思議に思っていました。

するとBさんは「昔はケンカっぱやいタイプだった」と、自分のことを打ち明けてくれたそうです。

あるときBさんは、「本当に自分と相手の命を失う覚悟で」向かってきた男とケンカになりました。Bさんは生まれて初めて恐怖を感じたと言います。そのときBさんは「覚悟する」ことの重さを感じ、それ以来ケンカは止めたのだと語ってくれたのです。

そしてBさんは、どんな場合でも「覚悟」をしない人間は戦いに負けるのだということも悟ったそうです。これは仕事にも通じることと言えるでしょう。

成功する人間は「覚悟」をもって物事に取り組むことを知っている、ということのようです。

成功するためには「覚悟」が大切

何事も初めての挑戦をするとき、ある境界線を超えるときには「覚悟」が必要です。

人生はなにもかもが100%の確実性を持っていませんので、道の「岐路(きろ)」に立ったとき、人は迷うのでしょう。

他の道の希望やリスクへの不安を諦め決意を持って歩き始めたとき、初めて覚悟のある生き方を歩み始めることができたと言えます。人生の中で安定ばかりを考えすぎていては、新しい冒険は出来ません。

また人間の時間は限られていますので、迷っている間に貴重な時は過ぎて行ってしまいます。気がついたら人生の大半が終わっていたということにもなりかねません。

覚悟を決めるとその人の行動は、周囲の人に一貫性と説得力をもって目に映るようになりますので、自然と応援や支援を受けられるようにもなるでしょう。

吉田松陰も常に死を覚悟して、行動をしていました。それゆえ、後世への功績を残せたのです。

現代の起業家も同じではないでしょうか。覚悟を持つ人以外には、成功は訪れません。

しかし、覚悟を決めるまで「あと一歩」を歩むためには、誰かの後押しが必要なときもあります。そんなとき有用なアドバイスなら、こちらをご覧下さい。https://kaikurakeisho.com/

「武士たる者は」に学ぶ「生きる覚悟」

覚悟を持って日々を過ごしている人は、それほどいないかもしれません。しかし精神的な退路を断ち、覚悟をして人生の道を歩まなければ、本当の成功はありえません。

吉田松陰の言葉は、今を生きる私たちに「後悔のない人生を送りたい人は、覚悟を持って生きなさい」ということを教えてくれます。