近き所も|吉田松陰の名言

「近き所も」とは、吉田松陰の名言の1つです。「近き所も」は、松陰が現した書物「講孟箚記(こうもうさつき)」の一文であり、内容は「自分の性質に近い、過去の出来事や人が成したことから学びなさい」ということを述べています。

過去の出来事は、未来において似たような事件として現れるかもしれないことですよね。松陰は、そのような見地から過去の歴史を学びなさいと勧めているのです。

近き所も

「近き所」の原文と訳、解説を見ていきましょう。

原文

『人各々(おのおの)資質あり。故に(ゆえに)古人を学びて其の性の(せいの)近き所を

得べし(うべし)』(安政二年七月二十九日「講孟箚記」より)

 

(訳)人にはそれぞれ生まれつきの性質がある。だから、昔の心ある人に学び、自分に近いよい性質を自分のものとするべきである。

解説

吉田松陰の【講孟箚記】は、松陰がペリーの黒船に密航した罪で長州の野山獄に幽閉されたときに、記された書物です。

野山獄に虜囚の身となっていたとき、松陰はその時間を利用してさらなる勉学に励みました。【孟子】を深く読み込んだのもこの時期だったのです。

【講孟箚記】は、松陰が【孟子】を読んだあと、その感想などをまとめたもの。

孟子は中国・戦国時代の儒学者であり、思想家です。孟子の教えとは、仁義礼智を貴び、人間関係を大切にした理想的なリーダー像を説いたものでもあります。仁義礼智とは、思いやり・悪を許さない心・礼儀を重んずる心・善悪を見分ける知恵を指しています。

孟子の考え方は古来中国の、しかも封建的な考えに基づく思考法であるため、日本人の考え方や価値観とは異なる部分ももっています。

しかし吉田松陰は、国が違う上に古い考え方であっても、そこから学ぶものはあると考えていました。今に通じない面がある考え方でも、現在の自分が理解できる情報や良いエッセンスだけを抜き取れば、学ぶ価値はあるのだと。

【近き所も】は、まさしく松陰のそのような学びの姿勢から生まれた言葉と言えるでしょう。

過去を学ぶと未来が読めるようになる

過去の歴史は、未来に起きることがサンプリングされている【過去の事件史】とも言えるでしょう。もちろん将来において、過去とまったく同じことが起きるとは言えません。

しかし、新たな歴史を作るのは同じ人間です。歴史学や経営学は、社会での人間の心理の動きを学べる学問なのです。ですから、経営者・起業家にとって有益な学問と言えるのではないでしょうか。

以下で、歴史学や経営学(マネジメント)を学ぶ必要性を解説します。

なぜ歴史を学ぶ必要があるのか

歴史とは過去の事件の集積といえます。事件はどうして起こるのでしょうか?そこには必ず人間同士の感情がからんだ【原因】があります。人間の喜怒哀楽というものは、今も昔も変わりないものといえるでしょう。

もちろん時代によって状況は変わりますね。しかし、似たような状況はありますし、そこに人間という登場人物が加わることで、事件が起きるのです。つまり歴史を学ぶことは社会学や心理学も網羅した学習をするということ。

たとえば、昔の【百姓一揆】などは、現代の【ストライキ】に通じるものがあるといえますね。事件には原因と共に結果があります。低賃金に悩むことで起こすストライキは、昔の一揆を深く学んでいれば、いずれどういう結果を辿る可能性があるか、その共通項から予測できます。

また、ストライキなどの現代の問題を考えるとき、百姓一揆までさかのぼらなくても、以前に起きた同じようなストライキ事件などを調べることで、事の先行きの予想ができるといえるでしょう。

いかがでしょうか。歴史好きな方というのは、歴史の中にこのような深い学びを覚えるからこそ、歴史に興味を持つのだろうと思いますよ。

なぜ経営学(マネジメント)を学ぶ必要があるのか

経営学も歴史学のようなものです。経営学とは、1900年以降のあらゆる企業の成功例・失敗例を体形的にまとめあげた学問だからです。言い換えると、経営学とは経営に関するあらゆる知識の歴史学ともいえるでしょう。

経営の歴史を学んでも、ビジネスにとって必ずベストな選択ができるわけではないかもしれません。しかし、より良い選択肢を手中にできるようになるのではないでしょうか?

たとえば、経営学を学ぶと、BtoBの営業についても、より説得力のある営業トークが展開できるでしょう。なぜかと言いますと、相手が受ける利益について裏付けのある理屈を話せるようになるからです。経営学を学ぶ前よりも、クライアントを納得させる営業内容が可能になるといえます。

また企業内、社内においては、経営学を学ぶことにより、会社が従業員に求めていることが明確にわかるようになるでしょう。

そして、会社における自分の仕事の成功と、企業の利益を一致させることができるようになるはずです。

経営学は絶対的な【成功への答え】ではありません。しかし、経営学を学ぶとその中に自分のビジネスモデルと似たものを発見し、学ぶことも多いはずです。自分のひな形を知り、同じような道をたどった人から様々なことを教えられることは、あなたにとって大きな価値となることでしょう。

【近き所も】とは、過去から学ぶことを勧める言葉

人生においても、自分と似たような生き方を発見すると、そこから学ぶことは多いですよね。

経営・起業という未知の世界に飛び込んだ人にとっては、歴史学や経営学(マネジメント)が自らの経営の指標にできる学問かもしれないのです。

ですから、起業したい人・経営者にはそのような学びをおすすめします。その上で、まだ企業や経営・営業などに悩むことがあったら、こちらまでご相談ください。

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