武士道の「名誉」とは?武士道に学ぶ経営者マインド

武士道の名誉とは、個人の威厳を表す徳目です。武士たちは名誉のためなら命すらたやすいと考えるほどでした。現代における名誉は功績や実力だけではありません。人としての品位や人格も求められます。今回は武士道の名誉から、経営者のマインドを学んでいきましょう。

武士道の「名誉」とは

7つの基本理念から成り立つ武士道のなかでも、最高の善と言われた名誉。武士にとって個人の威厳を表すものです。

武士は名誉のためなら命すらたやすいと考え、どんな困難も忍耐強く乗り越えました。当時若者たちが求めたのは、富や知識ではなく名誉です。生まれ育った家を出るとき、世に名を成すまでは家の敷居をまたがせないと契るほど、武士にとって名誉は価値のあるものでした。

日本人にとって「名誉」は、聞き馴染みのある言葉ですよね。名誉は人の才能や努力した結果をたたえる意味があります。現代においても価値のあるものに変わりありません。

誰でも名誉を欲する心は持っています。しかし真の名誉というのは、人からたたえられるものではなく、自分の心の中にあるものなのです。

武士道の名誉から学ぶ経営者マインド

自分の心の中にある名誉。ここからは武士道の名誉から学び、経営者としてのマインドを身に着ける術を解説していきたいと思います。

恥を知る

武士道の名誉は、自分に恥じない生き方を守ることです。

武士はいかなるときも羞恥心を大切にし、人に笑われることや対面を汚すことはすべきでないと、幼い頃から教育されてきました。

武士にとって恥を受け不名誉に生きていくことよりも、美しく死んでいくことのほうが名誉だと言ったほどです。自らの腹部を切り裂いて自害する切腹も、名誉ある死であったのです。

このような歴史があったからこそ、日本人に世間体や外聞といった周りの視線を気にする「恥の文化」が根付いたのでしょう。

人として正しい道を進むこと、道徳意識を持つこと、それらが経営者に求められる恥じない生き方です。富や知識を追求するのではなく、自分の役割を全うに努めることが名誉ある行いと言えます。

どう生きるかではなく”美しく生きる”

武士にとってどう生きながらえるかではなく、美しく生きて死すことが名誉でした。死を選んででも守り抜いた名誉とは、武士が高潔な生き方を貫き美しく生涯を終えた証です。

人が美しく生きていくというのは、私利私欲を捨て真っすぐに人生を全うすること。経営者である以上、利益や功績を求めることは当たり前です。しかしながら自分や会社にとっての得だけを考えるのは、美しい生き方と言えるでしょうか。

私利私欲を持つのは、自分を一番に考え行動したり判断したりすること。自分の中にある私欲を抑えることは難しいですが、時に自分を苦しめる行為でもあります。

自分が中心になってしまうと、世の中や身近な存在に腹を立てたり、現実に焦りを感じたりしてしまう場面が増えます。上手くいかない原因を周りや環境のせいにして、怒りや感情をコントロールできなくなってしまうのです。他人を責めて自分を苦しめる生き方は、名誉における美学に反していますね。

経営者である以上利益や功績を追い求めることも重要ですが、その土台となるのは自分と人を大切にして美しく人生を全うすることです。

短気な行動や発言は避ける

常に立派な行いをして優れた道徳観を持つ武士にとって、短期な行動や発言をすることは軽蔑される行為でした。

些細なことで怒りを抱き相手を責めたてることは、恥じるべき行いです。どんなときも忍耐強さを持ち乗り越えていく事が、武士道における名誉です。

経営者は自ら人材教育を行うこともあれば、部下に厳しく指導しなくてはならないこともあります。誤った行いをしたのであれば、叱ることは避けられません。しかし指導や叱ることと、怒りに任せて感情をぶつけることは、違いますよね。

現代を生きる私たちの中には、この区別ができない人が時々見られます。経営者は常に冷静に相手の状態や感情を考察して、接していく姿勢が求められるのです。

自分の行動や発言は周りの人に影響を与えることを理解し、全員が働きやすい職場環境を作っていくことが経営者の理想的な在り方です。

目標を追い求め続ける

武士は常に高い志を持ち、国のため主君のために生涯を全うしました。

美しく生きることと同時に「何のために生きるか」ということも、追い求め続けたのです。志を持ち高潔に生き抜く様こそが、武士に与えられた名誉でした。

人は目標を持つことで、自分を奮い立たせ強く生きていくことができます。逆に目標がないと毎日がぼんやりして生きる力も弱くなってしまいます。

目標を追い求め続けることは、経営者にとって欠かせないマインド。何のために達成させたいのかに重きをおいて目標を立てたら、あとは尽力するのみです。過程と結果を繰り返すことで、自分の心の中に名誉が生まれることでしょう。

武士道「名誉」から経営者が学ぶこと

武士道における名誉とは、個人の威厳です。自分に恥じない美しい生き方をし、常に落ち着いた心で目標を追い求める、それが名誉から経営者が学べるマインドです。武士の精神を取り入れ自分の役割を全うしたとき、自分の心の中に名誉が生まれるでしょう。あなたもぜひ、経営者として武士のように名誉ある生き方を志してみてはいかがでしょうか。