「いただきます」の意味は「感謝」! 大人の日本語講座

「いただきます」この言葉はみなさんが当たり前に使っている言葉です。いただきますの意味をきちんと考えたことはありますか。なぜこの言葉を言ってから食事を食べ始めるのでしょうか。

 なんとなくいただきますは感謝の言葉だと思っている方もいるかもしれません。では、その感謝の言葉は誰に対しての感謝の言葉なのでしょうか。生産者なのか料理を作ってくれた人なのか、はたまた食材そのものに対しての感謝なのかわからないですよね。

そこで今回はいただきますの意味について紹介していきたいと思います。いただきますの意味やどうやってできたのか、感謝をする大切さなどを説明していきます。 

 いただきますの語源

物心ついた頃から行なっている行為である食べる前にするいただきます。何も意識せず今までこの言葉を言ってきたと思います。この言葉はどんな意味を持っているのでしょうか。

いただきます(頂きます、戴きます)は、食事を始める際の日本語の挨拶である。「いただく」(「もらう」の謙譲語、または「食べる」「飲む」の謙譲語・丁寧語)から派生したもので、「ます」をつけないと挨拶として機能しない連語である

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/いただきます#語誌 

このいただきますという言葉は食事の前だけではなく、物をもらう時にも使うことがあります。

いただきますのいただくは「頂く、戴く」の連用語であり、昔は神様のお供えしていたものを食べるときや地位が高い人からものをもらう時は頭の上(頂)で受け取ることが礼儀だったことからも来ています。

頭の上でいただき感謝を述べることから「いただき」が「食べる」「もらう」の謙譲語として頂くというのが使われるようになりました。それがやがて食事の挨拶として「いただきます」という言葉に定着したのです。

いただきますの意味

いただきますは敬意を表す動作から生まれた言葉です。この言葉の意味は感謝を表している言葉だとみんな考えていると思います。確かに感謝を伝える言葉なのですが、その感謝は誰に対しての感謝なのでしょうか。 

現在は、2つに向けて感謝する言葉だと言われています。それは食材そのものに対しての感謝と食材を育ててくれた人や取ってきてくれた人、食事を作ってくれた人への感謝の言葉だとされています。 

食材に対しての感謝

少し、宗教の話になるのですが私たち日本人の代表的な宗教というのは仏教を信仰しています。仏教の考え方の一つとして人間も牛も豚も植物、その他の生き物も「命は同等」というものがあり命に差別はないという考え方があります。

私たち人間は生きるために食べ物を食べます。生きるためとはいえ牛や豚、その他の生き物の命を奪って食べ物を食べています。人間はそれを当たり前だと考えます。しかし食べられる動物や生き物は食べられるのが当たり前だとは思っていません。

逆になって考えて欲しいのですが人間を捕食する生命体が現れたとします。もし自分がその生命体に食べられてしまう時にしょうがないなんて考えるでしょうか。

絶対にその怪物のことを恨みます。それと同様のことを私たちは行なっているのです。仏教では、動物や植物の命を奪うことを「殺生」と言います。

障子をする前にこのような挨拶をするのは、犠牲になった命の重さを感じて生きていくためには必要なことだが申し訳ないという気持ちから「いただきます」という言葉を言うのです。 

そして動物や植物に命を私の命に代えさせてくれてありがとうとそれぞれの食材たちに感謝を伝えます。

食事を作ってくれた人への感謝

いただきますには食材たちだけではなく食事を作ってくれた全ての人たちへの感謝の意味も含まれます。一つの料理の中には様々な食材が入っています。 

例えばお味噌汁で考えます。みそや豆腐を使った人。ワカメやネギ、ほうれん草を栽培してくれた人。その料理を考えた人。料理に必要な具材を取り寄せてくれた人。料理する人。場所によってはそれを配ってくれる人。このように一つの料理だけでも様々な人が関わり汗水流して作り料理が完成していくのです。 

自分一人だけの力で料理が完成することはありません。食べる前は作って倉田人にもしっかりと感謝をしていただきますと言いましょう。

食材たちや作ってくれた人たちにきちんと感謝をし、食事を楽しもう

日本では食事を食べる前にいただきますと言うのは当たり前のことで最低限のマナーになってきている。しかし、近年この「いただきます」を言わない人が増えてきています。 

ありがたいことに現在日本は食べ物が溢れており、食べ物が不足していた時代とは全く違います。コンビニに行けば簡単に食べ物が手に入り、スーパーに行けば野菜やパン、ご飯などなんでも手に入ってしまいます。そのため食べることのありがたみを忘れてしまっているのです。 

食べると言う行為は生きるために必要な行為で当たり前のことです。生きていたものを料理して食べています。すなわち命を食べているのです。日本人として最低限のマナーである食べる前に食べ物に感謝して「いただきます」と言うようにしましょう。 

いただきますの意味をしっかりと理解すれば食べ物や作ってくれた人たちへの感謝は忘れないはずです。また外国ではいただきますと言う言葉がない国もあります。このようなものは日本独自のものです。この独自の習慣を忘れずにきちんと感謝の肝とをもって楽しく食事をしましょう。