
武士道の義とは、道理に任せて決断する心のことです。武士道の中でも最も厳しい教えであると言われています。現代を生きる私たちは、武士が大切にした義の精神を忘れてしまうことも。今回は義の意味や精神について、詳しく解説したいと思います。
義とは何か
義とは、武士道7つの基本理念のうちの1つです。仁義・義理・義務・道義・大義・正義など、義から派生した言葉も多くあります。
そもそも武士道というのは、江戸時代侍に求められた道徳観のことを言います。主君に仕え御恩と奉公に準ずる主従関係を結んでいた侍。しかし平和な時代が続くとともに、今までの御恩と奉公だけでは主従関係を結ぶことが難しくなってしまったのです。
そんな様子を見かねた幕府が、儒教という中国の学問を推し進めたのが武士道の始まりでした。
武士道は儒教の道徳的な思想を取り入れ「義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義」という7つの基本理念とされています。
義はその中でも最も厳しい教えであり、私欲を捨てて道理に任せて決断する心を説いたもの。人間として正しい道を選択することこそが、義の精神なのです。
義の精神とは
道理に任せて決断する心である、義。人間にとって当たり前に思える精神ですが、現代人の私たちどれほど義の精神を持って生きているのでしょうか。ここからは、義の精神の考え方や生き方について説明します。
私欲を捨てること
当時侍には、私欲を捨て行動することが求められました。
元々主君と主従関係にあった侍。御恩が保証されれば、命を投げ出してでも戦いました。しかし御恩がなくなると、主君に従う必要はないと考えた侍が多かったのです。それこそが武士道ができたきっかけです。
御恩のために戦うということは、つまり奉公の気持ちよりも私欲が勝って行動している状況。
人間である以上、私利私欲を捨てるのは難しいことです。平成時代、東日本大震災や度重なる大雨など、多くの災害に見舞われました。その時私たちが当たり前のように送っている日常がどれだけ幸せに満ち溢れたものか、実感できたのではないでしょうか。
利益、地位、権力など、これらの私欲にかられて生きることは、自分自身にとっても辛いことです。私欲をコントロールできたとき、失うことが怖くなくなります。すると人々のために生きることが最高の幸せだと実感できるでしょう。
フェアプレーであること
武士は決して裏取引などの卑怯な行為をしてはいけません。常にフェアプレーであることが求められました。
フェアプレーとは、基本となるルールをしっかり守り、全員が公平であること。元々スポーツなどの競技や勝負で使われる言葉です。
社会において秩序を守ることは当然とされています。しかしながら、他人を出し抜いてでも自分の成功を手にしたいと思う人は少なくありません。ありもしない噂話を流したり、相手にとって不利になるような行動を起こしたり、フェアプレーとは程遠い行為です。
他人を出し抜き手に入れたものは、自分にとって本当に価値のあるものなのでしょうか。例え成功を収めたとしても、多くの人を傷つけ裏切る行為をすることは、道理に反していますよね。
人のためはもちろん、自分のためにも、フェアプレーであることは今も昔も重要とされているのです。
損得を考えて行動をしない
武士は損得を考えず、主君のために命を懸けて戦うことが求められました。御恩を頂戴するためではなく、国や主君を守るためです。
私たちはつい、損得勘定で動いてしまうことがあります。自分にとって得なことはやる、でも損なことはやらない。そうして自分にメリットのないことは避けてしまいがちです。
それは、自分は得をして当たり前だという心が原因。自分のために生き、常に見返りを求めてしまっているのです。
自分が得をしないからと避けたことは、誰かがやらなくてはいけないことかもしれません。すると必ず、尻ぬぐいをする人が出てきます。
人を犠牲にしてまで自分のために生きるということは、義の精神とは反していますよね。
人として間違ったことをしない
私欲に生きる、卑怯なことをする、損得を考えて行動する、これらは人として正しい行為とは言えません。
武士は道理に任せ人として正しい道を歩むことが求められました。他者への思いやりや愛情を持ち、嘘はつかず、勇気を持って正しい道を歩く。それこそが武士の鏡です。人間として正しい選択をすることこそが、義の精神そのものなのです。
多くの欲を持ってはいけない、人に嘘をついてはいけない、卑怯なことをしてはいけない、これらは私たちが子供の頃、親や学校の先生から教わってきたことですね。
人間として何が正しいのかを判断するのは、自分自身が持つ良心の中にあります。
自分にとって何が都合良いのか、何が得をするのかではなく、何が正しいかを判断していかなくてはならないのです。
義の精神を大切に生きること
義の精神は、人間として当たり前のことに思えます。しかし忙しい日々を送る中で、自分中心に物事を考えてしまいがちです。そんな時こそ義の精神を思い出し、人のために正しい生き方をしたいものですね。
あなたもぜひ、義の精神を心がけ自分にとって最高の生き方を始めてみてはいかがでしょうか。
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